ジュニアサッカーの練習でも、あたり前のように見かけるようになったラダートレーニング。
恥ずかしいながら私はこれまでラダートレーニングをやったことりありません。
学生時代は運動系の部活に所属していたんだけどね・・・時代でしょうかね。笑
「ラダートレーニング」って?
ラダー(Ladder)とは日本語で「はしご」の意味ですね。
ラダートレーニングとは、はしご状の道具を地面に置き、様々なステップを素早く繰り返し行う練習のこと。
このトレーニングを繰り返しやることで、脳からの指令を筋肉に素早く伝達することができるようになるんですって。
だから、足が速くなったり、ボディバランスが良くなったりするようですね。
ラダートレーニングは、ジュニア年代からやっておくことが推奨されているようで、チームによってはラダー専門のコーチなんかもいて、かなり本格的に教えているところもあるようです。
気になること
最近、子どものサッカーの「現場」に顔を出すようになって、とても気になることがあって。
試合や練習中に、親が子どもに対して、感情的に言葉をぶつけている光景をたまに見かけるんですよね。
子どもを励ましているつもりなのかも知れないけど(周りにはそう聞こえないけど)、子どもが完全に萎縮してしまっています・・・。
とても残念な光景ですね。
そのとき、ふと思いまして・・・。
大人たちもラダー(はしご)を意識する必要があるのではないかと。
ラダーはラダーでも大人たちが意識するのはあの有名な「推論のはしご」ね。
「推論のはしご」って?
大人が意識すべきなのは「推論のはしご」。
人間は無意識のうちに脳内で物事に意味づけをしていると言う、クリス・アージリス教授っていう有名な方の考えですね。
人は何かを経験するたび、その経験は瞬時に脳内にある「はしご」を上まで登るとか。
だからみんな知らないうちに、1日に何千回も人はこの脳内のはしごを登っているんだって。
その脳内のはしごの「横木」一本一本に注目してみると・・・。
第1段:まず「生」のデータを脳内に取り込む(つまり目で見たままを脳内にインプットする)。
第2段:次に特定の情報とそれ以外を分別する。自分の興味、関心をもとに脳が勝手に分類するようだ。
第3段:情報に意味づけを行う。情報の解釈を始める。
第4段:前の段をもとに、推論をする。ここで、「事実」と「思い込み」が混ざり始める。
第5段:結論を下す。感情的な反応も生まれる。
第6段:その時の経験に関わった人を含めた「世界観」を調整する。
第7段:考え方に基づいて行動を起こす。
「推論のはしご」に基づく具体的行動
具体的に見ていきましょう・・・。
例えば、駐車場で割り込まれたことってあります?
車を停めるべく、ウィンカーを灯けて、ハンドルを切ろうとした瞬間に急ブレーキ!
なんと無理やり他の人に場所を先取りされた!
この経験によって得られた「生」データが、あなたのはしごの第1段を登ってきました〜。
そして第2段で、この「生」情報に振るいをかけます。
天気や鳥のさえずり、ラジオから聞こえる気持ちの良い音楽なんて、もうどうでもよくなってます。
そのときあなたにとって大事なのは、ハンドルを握った感覚、血圧の上昇、ブレーキの音と割り込んできたドライバーの表情、そしてさらにそのドライバーがそっぽを向いたことだ。
第3段で「自分は先に来た人から順番だというのが世のルールのはずだ」と親からもそう教わってきたはずだ。
「それなのに、それなのに、場所を先にとられたー!これは理不尽だ」と考えます。
第4段で、思い込みが事実にとって代わる。ここが大事だ。4段目大事すね!
「あいつぅ!いったい親に何を教わってきたんだ?!」
第5段で、ついに結論を下しちゃいます。
あなたは自分勝手で非常識な男に、怒り、苛立ち、恨み、そして義憤を覚える。
第6段で「二度と譲るものか!」また邪魔が入りそうになったら無理ヤリにでもオレが駐車してやると考えます。
第7段。ここではもう手遅れか・・・あなたは行動に出てしまう。
クラクションを鳴らして、窓を開け、相手を罵倒する。
すると・・・・
相手が歩いて来て・・・
「妊娠している奥さんが陣痛が始まったと電話してきたので、急いで病院に連れて行きたかった」と今にも泣きそうな表情でいうのです。
それを聞いたあなたは驚いて、彼に謝り、去っていく彼の幸運を祈ることになると・・・。
なぜ、あなたはここで急に態度を変えたのか?
それは、相手の「はしご」があなた自身の思い込みから生まれた「はしご」を断ち切ったからです。
相手は、慌てていましたが、あなたに謝罪することを選択しました。
人間には自由意志がある。
つまり、相手にはしごを断ち切ってもらわずとも、自分から思い込みを断ち切ることは可能だったということ。
それには、まず物事に反応する前に、自分の「はしご」に注意を向けてみるのです。
難しいけど、客観的に自分を見るということだね。
自分は今、どんな考え方をしたのか?
どんなデータを選択したのか?
そしてその理由は?
はしごは人によってさまざま・・・。
だから自分だけでなく、相手のはしごにも気を配ってください。
もう言わずものがなだね。
子どもだって自分のはしごがあります。
試合中や練習中、自分なりの考えを持って走っているし、ボールを追いかけている。
親がプレイに納得できないからと怒り、大きな声で罵声を浴びせるのにはとても違和感を覚えるね。
子どもの調子の悪い理由が、もし怪我によるものだったら?
あるいは「きのうの夜、パパと遊んでもらって楽しくて、興奮してなかなか眠れなかったんだ。ごめんなさい」なんて言われたら?
きっと父親も自分のはしごを断ち切られることでしょうね〜。
まとめ
私たちは、これまで生きてきた中での経験や、蓄積された知見をもとに、物事を判断してますよね。
そして、その判断を正当化しがち。
でも、実際には見えていない部分が多くあるのですよね。
だから、物事に反応する前に、無意識のうちに登ったはしごに意識を向け、なぜ自分はこう考えたのか?その判断は本当に正しいものか?他に良い答えはないか?と一歩立ち止まってみると良いかもね。
そして、登ったはしごを一段降りてみる。
あるいは自らはしごを断ち切ってしまう。
それがとても大事なことだと考えます。
誤った反応によって、大事な人間関係を壊したくないですよね。
愛する我が子なら、なおさらだ。
だから「相手のことも考えて、行動を起こすこと」が大切なのです。
大人のラダーも、きっとトレーニングで鍛えていけるはず。
がんばろー!
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