先日の新聞に、大阪の「興国高校」の記事がありました。
大阪・興国高校は全国高校選手権の出場は2019年度の1度だけだが、関西のバルセロナと言われるほどの強豪校。
2006年から同校サッカー部を率いる内野智章監督はこれまで23人もの教え子をJリーグへ輩出しているという。
その内野監督の指導理念は「勝利よりも個の力の向上に重点を置く」というものだ。
以前、内野監督が「FOOT BRAIN」という番組に出演していたことがあり、その時に話されていた内容と新聞記事から、興国高校の指導法には3つのポイントがあることを学びました。
その3つのポイントとは。
常に脳に刺激を与える
ポイントの1つ目は、脳に常に刺激を与えるというものだ。
これは、短い時間で技術力を高めるということが狙いのよう。
高校3年間はあっという間。
限られた時間の中でも、できるだけ技術を身につけるためには、常に脳に刺激を与えるのが効果的であるという考えに基づく(ブラジルのストリートサッカーの映像を見て、ヒントを得たという)。
例えば、練習方法としては以下のものがある。
①いろいろな大きさや素材のボールを使う(その硬さ、重さ、弾む距離などを常に考える)。
②雨で濡れて滑りやすピッチの上や、凸凹のある地面でプレーをする。
③数メートル離れた場所からボールを投げ、途中で目をつぶり落下地点を予測してトラップする(視覚に頼らないようにする)。
自分の脳を使う、つまり自分で考えることが重要であるとの考えから、試合後のミーティングなどは、VTRを見ながら、監督抜きで、選手だけで良かった点、悪かった点などを討議をする。
このように選手同士でサッカーについて討議するとき「自分の意見を主張できなかったり、言い合いによるケンカができない奴はプロにはなれない」と内野監督は言う。
当日の練習メニューも選手たちが考え、さらには試合におけるスタメンも選手同士で決めることもあるとのことだ。
ボディバランスを鍛える
ポイントの2つ目は、ボディバランス。
というのも、サッカーはいつも自分のベストな体勢でプレーすることができるとは限らない。
(ボールがそれたり、相手にカラダをぶつけられたりするのが常だ)
だから、自分がどのような体勢になろうとも、バランスを保ちつつ自分のカラダを支えながら、いつも正確にボールコントロールできなけらばならない。
そのためのトレーニングとして、ブリッジや三点倒立、三点倒立からの開脚など、アクロバティックな動きをする時間を練習の中に取り入れ、力の伝え方を調整する能力を鍛えるという。
さまざまなポジションを経験させる
ポイントの3つ目は、選手のポジションを固定せず、いろいろなポジションを経験させること。
俊足に頼るフォワードの選手に、あえてボランチでプレーさせ、足もとの技術を磨く努力をさせる。
または、ボランチの選手に常に相手と対峙しなければならないサイドバックを経験させ、1対1に強くなってもらうなど。
ポジションを固定すれば、それなりに勝ち進めるチームを作れるかも知れないけど、興国高校はそこを目指していないようだ。
「目先の勝利よりも、将来世界で活躍する選手を育てたい」というのが内野監督の想いのようだ。
技術は裏切らない
「技術は裏切らない」が内野監督のモットーだ。
新聞記事や、テレビの映像から伝わってくる、内野監督像は、相当な熱血漢だと思われます。
選手(生徒)に対し、いつも情熱を持って接し、自分の言っていることを理解できない選手がいれば、たとえ試合中であろうと、その選手をピッチ脇まで呼び、延々とわかるまで説明(お説教)する。
一歩間違えれば、選手が萎縮してしまうリスクがある、いわゆる「おっかない監督」だ。
でも、選手は監督の指導をありがたいと感謝しているようだし、選手からの信頼も絶大であるところがスゴイところだ。
これは本当に選手の成長のために指導していることの証左なのだろう。
さて、この興国高校から今後、何人のJリーガーが輩出されるのか。
今後、全国高校選手権で優勝することもあるのだろうか。
これから、非常に楽しみです!
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